風が、吹いた


その「何か」を振り払うように、首を振る。



なんとなく、突き詰めたらいけない気がして。




「孝一くんと、最近どう?」




レモンを皿に盛りつけながら、唐突に、佐伯さんが訊いてきた。




「どうって……まぁまぁ、仲良くやってると思いますけど?」




不思議に思いながら、そう答えると。




「よかった」




安心したように、佐伯さんが微笑む。





「無粋なことを訊く様だけど…孝一君は、想いを伝えられたのかな。」




一呼吸置いて、佐伯さんが今度は遠慮がちに尋ねた。




「……え……な、、、し、知ってたんですか?」




しどろもどろになりながら、顔が赤くなったのを感じる。




「ということは、うまくいったんだね」




認めたも同然な反応をしてしまったことに気づき、自分は子供だなぁと改めて思った。




「本当に、良かった。」