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カランカラン
その鐘の音さえも、寒さに拍車を掛けている気がして、思わず肩を震わせた。
「お、いらっしゃい。」
佐伯さんの笑顔は、温かさを3割り増しさせてくれる気がするから、ほっとする。
「招待してくださって、ありがとうございます。」
と、言いつつ、目は並べられているご馳走に釘付けになってしまう。
いつもは、お客さんの使うテーブルのひとつに、綺麗な花が飾られ、ワイングラスが3つ、用意されていた。
その他のテーブルは、くっつけられていて、その上に料理が所狭しと載っている。
ビュッフェ形式のようなのだが。
「…料理、、、多すぎませんか?」
とても3人分の量とは思えない。
「…うん。張り切って、作りすぎちゃってね…」
ははは、と照れたように、佐伯さんが笑った。
「手伝いがいるかと思って、ちょっと早めに来たんですけど……いらないですね。」
鞄をカウンターに置きながら、言った。
「そんなことないよ、まだオーブンの中に香草焼きが入ってるし、デザートも盛り付けなくちゃいけないし」
いや、もういらないでしょ。と突っ込みたくなる自分を抑え、休憩室のキッチンへと向かった。


