風が、吹いた


いつもは、落ち着いた色彩の店内も、結婚式の余韻を残すために、白を基調とした花々で飾ることになった。



私たち店員も、佐伯さんから、ワイシャツに黒いズボンを持ってくるよう言われていて、それに着替えると、なんとなく、緊張感が漂ってくる。




「メニューは決まってるんですか?」




椎名先輩が佐伯さんに尋ねる。



佐伯さんはというと、コーヒーの確認をしていた。




「うーん、大体20人くらいで、こじんまりとコーヒーとデザートをって言われてるんだよね」




昨晩焼いたのか、佐伯さんの特製タルトとガトーショコラがケースに並んでいる。




「コーヒー苦手な人がいるらしくって、紅茶も出して欲しいみたい。」