風が、吹いた


知らない痛みに顔が曇るのを隠せなかった。

声を出さなかっただけ、自分を褒めたい。




「あれ、くらもっちゃん、どうしたの?」




ー何でもない、何でもない。



必死で自分に言い聞かせる言葉を吉井にも。




「何でもないよ」




自分はちゃんと、笑えただろうか。




「くらもっちゃん…何か企んでる悪い顔になってるよ…」




…失敗したらしい。




「でもくらもっちゃん位しかいないと思ったんだけどなー、じゃぁ同じ中学校だった子かな?」




うーん、とあれこれ考え出す吉井。