風が、吹いた


「…ナイって。まさか恋愛要素ゼロとかそんな訳ないよね?」




「皆無だね」




ばっさり切り捨てるが、吉井は引き下がらない。




「嘘!そんなわけないよー絶対有りだよ!くらもっちゃん、告られたりしてないの?」




どんなふうに回想してみても、そんなシーンには覚えがない。




「だから、無いって」




吉井から目を逸らして、鞄の中から筆記具を出す。




「でもさー」




納得いかないらしい吉井が、まだ言葉を紡ぐ。




「椎名先輩に告った子たち、『好きな子がいる』って言われて振られてるんだよー?」




ーえ。


胸に衝撃。