風が、吹いた


「…へー」




一応相槌を打ってみる。




「で、ぶっちゃけ、どっちなの?」




横目で吉井を見ると、犬が餌をねだるときのように、キラキラと、いやギラギラと表情が輝いている。




「ーなにが?」




面倒そうに答えると。




「またまたーとぼけちゃって!分かってるくせにー」



と、吉井が恥ずかしがるフリをする。




「…ナイから」




呆れたように言葉を返すと、吉井の顔が訝しげに歪んだ。