風が、吹いた




私の心の中を全て見透かしたように、小さく笑う先輩を後ろに置いて、走った先の昇降口で、毎朝浅尾に会う。




「はよ」




「…おはよー」




浅尾とは、友達となったらしいあの日から、たまに話す。朝の登校時間が同じということもあって、自然と教室も一緒に向かう。




「今日確か小テストあるよなー」




今は、上履きに履き替えている私を、浅尾が待つ感じで、下駄箱に寄っ掛かっている。




「あ、そだね、そういえばあったよね、今日」




上履きのつま先をトントンと床に打ち付けながら、そうだったと思い出した。




「うわー、何その反応。忘れてたけど余裕って感じだな」