風が、吹いた


タオルで水滴をぬぐって、鏡の中の自分と目を合わせた。



ー先輩とは友達。それ以上でも、それ以下でもない。



ここの所、毎日自分に言い聞かせている。



椎名先輩との昼の時間は、自分の気持ちに反して、楽しかった。



誰かを知るということは、自分以外の人間を受け入れることを、自分が許せたということ。



この先、誰とも関わらず生きていくことはできないから。



それなら、免疫を少しでもつけておこう。



ここまでの気持ちなら、大丈夫。



でも…




ずっと一緒に居たいと願ったら、アウトだ。