そういわれてみてれば、私には笑った記憶が最近ない気がする。 だって、楽しいことなんて、なかったから。 自嘲的な笑いはあったものの、心から笑えたことが、何回あったろう。 「そう言われてみると、私も記憶にありません。」 笑いを止めて、両手から顔を解放する。 「でも、今日浅尾にも笑ってたね。」 ーえ? 「笑ってました?私、無意識ですね。いつだろう?」 おかしいな、と考えながら、昼間の記憶を辿ってみる。