風が、吹いた









「ごめん、ホント、ごめん。」




先輩がテーブルにおでこをつける。




「別にいいですよ。大したことじゃないですし。」



さっきの言葉を借りて言ってみる。



彼はさらに小さくなっているように見える。




「ふふ」




思わず笑いを溢すと、彼ががばっと顔を上げた。




「千晶、笑うようになったね」




一緒に笑いだすのかと思ったら、まじまじと見つめられてしまったので、私は両手で顔を隠した。