風が、吹いた


「…あのさ、さっき吉井にも聞かれてたんだけど…椎名先輩ってそんなに有名なの?みんなが気になるくらい?」




先ほどから、いや、こないだグランドを見ていた時から、感じていた疑問をぶつけてみる。椎名先輩絡みになるとどうして、皆ハテナを連発するのだろうか。




「うん。校内じゃ知らない人間いないんじゃねぇ?」



非常識なのは私か。




「私、知らなかったんだけど」




胸を張って言ってみる。




「らしいな」




浅尾は呆れたように溜め息をついた。




「あんな完璧人間、一生の内でも滅多に会えないよなぁ。だけど、ひとつ言えるのは、関わるとロクなことないってことだ」