次の日の朝は自分でもびっくりするぐらいパッチリと目が覚めた。
夜のうちに準備していたカバンや教科書、そして1か月ぶりの制服。
入学式のときよりもドキドキしながらそれに袖を通すと、ずっと重かった制服が前よりもほんの少しだけ軽く感じた。
トントン、と階段を下りるとお母さんが朝ごはんを用意していて。
そのごはんがわたしの大好きなホットケーキだったから、それがお母さんなりの応援なんだと思った。
「香澄、おはよう」
「おはよう、お母さん」
いただきます、と2人でごはんを食べながら他愛のないことを話す。
それは今日の天気だとか占いの結果だとか、お母さんのお仕事のことだとか。
いっしょに食器を洗って玄関に向かう。
玄関を開けると太陽の日射しがわたしとお母さんの上に降り注いで眩しかった。
「あまり無理はしないでね」
「うん」
ガチャリと鍵を閉めてわたしはそれを手のひらでギュッと握りしめる。
キラキラ、太陽の光を通して淡く柔らかく光るミルキークオーツ。
大丈夫、きっとわたしはまた人を好きになれるって、ミルキークオーツがそう示してくれてるから。
「行ってきます!」
わたしはお母さんに笑顔を見せて学校への一歩を踏み出した。
*milky quartz Fin.


