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「それから、わたしがその子の彼氏を取ったんだって、教室でイジメが始まったんです」



伝わらない真実。曲げられた真実。


本当はわたしが付き合っていたのに。裏切られたのはわたしなのに。


必死にそう言っても誰も聞いてくれなかった。



「わたしには、何もないって…つまらないって……」



ジワリと目に薄い膜が張る。


こぼさないようにまばたきをするときゅうっと柔らかいものに包まれた。



「っ、わたし……」


「香澄ちゃんはつまらなくなんてないよ」



そおっと頬が包まれて蛍さんの不思議な色合いの瞳と視線が交わる。


まるで空みたい。グレーの曇った空と真っ青な空の色。



「誰にだって、その人にしかない個性がある、才能がある。

ミルキークオーツはね、他の人と比較して自分を卑下するんじゃなくて、その人の持っている個性の違いを認めて、才能を伸ばすサポートもしてくれる」