まだ、心臓が嫌な音をたててる。
はやく、はやくいなくなって……!
祈るような気持ちで扉の向こうに意識が向いていたので目の前の人に気づかなかった。
「こんにちは」
「きゃあっ!?」
驚いて声を上げてしまう。
ハッとして目を向ければそこにはたいへんな美少女がいた。
その子も驚いたのか目を丸くしていて。
「あ、あのっ」
「いきなり声をかけてごめんなさい」
「あ、いえ……」
大丈夫です、と言うとその子はニッコリと嬉しそうに笑った。
わ……こんな女の子が世の中にいるんだ。
例えるならかわいらしいお花みたいな子。
そこら辺にいる誰よりも断然かわいい。
「よかったら中を見てって?」
「あ、えと、」
ここってお店、だよね?
よく見ないままに入っちゃったからなんのお店か全く分からない。
飲食店、とかならわたし、お金なんて雀の涙ぐらいしかないんだけど……


