「──またフられたのか?」


 缶ビールを手に取った坂下は、プルトップを開けて、ぐい、と一口煽る。


「まぁ、そんなとこだぃね。付き合って2週間だしさぁ。しかもイヴに振られるって何なんだろ。たったの14日かそこらで何が分かるん。俺だって相手のこと何もわかんない内に終わっちゃった」

「何も、って友達とかだったんじゃねーの?」

「合コンで知り合ったんさ」

「お前、それ何度目だよ」


 坂下がもう何度女性に振られているのか、慈人は数えてなんていないが、前に泣きつかれた時も、その前も、合コンで……と言っていたような気がする。

 溜め息を吐いて項垂れる坂下の背中を慈人が蹴った時。

 テーブルに置いたままだった慈人の携帯が鳴った。

 坂下からそれを受け取って確認すると、実家で暮らす姉からのメールだった。
 急ぎの内容では無いが、直ぐに返事を送って携帯を閉じる。

 すると程なくして返事が返ってきて、慈人はまた携帯を覗き込んだ。