キュッ


私は洗い物を終えた。





キッチンから、テレビを見ている桜雅くんの後ろ姿を見つめる。


なんだか自然と涙が出た。






真後ろに座り名前を呼ぶ。






『……桜雅くん。』



「んー?どうしたっ」



チュッ……






私は振り返った瞬間、自らキスをした。





「羽純さん、どうしたの?何で泣いてるの?」



桜雅くんがこちらに向き直った。
そして、優しく私の頭を撫でる。





『……もう、明日で撮影終わりだよ?
そしたらこれも終わり?…そんなの嫌。
でも、もう辞めにしたい自分もいて。
なんかもう、自分がわかんない……。』



離れたくない……でも、
そこに愛がないのなら、苦しいだけだ。




「何で辞めたいなんて言うの?」


『……愛のないこんな関係、苦しい。』



「……羽純さん、愛…ないの?」



『…私はあるよ!だから、苦しいの!』



桜雅くんは、黙ってしまった。

やっぱり、君は私に対して特別な気持ちなんてないの?