ふぅ。洗い物終了〜。





しかし、あの子はこの後どうする気だ?


チラッ


問題の彼はリビングでテレビを見ながら、まるで来慣れた家かのようにくつろいでいる。






まさか……泊まる気じゃないだろうな?

いや〜、まさか。ないない。

だって友達だもん。うん。



そんなことをシンクに手をついて考えていた。





ぎゅー





「もう、洗い物終わってるのに何してんのー?」



桜雅くんはいきなり私を後ろから抱きしめた。



『ちょ、何してんのよ!!』



「ぎゅーってしてる?」


そうよね、そりゃそうよね!
そういうとじゃなくて!

すると、



チュッ



彼はパニックになっている私に追い打ちをかけるかのように、耳にキスをした。




「ふふ。耳、真っ赤。」



耳元にかかる彼の息が熱い。



『こ、これ、友達の範囲超えてるって!』


「だから、恋人みたいな友達だって♪」



だから、それがよくわかんないのよ!



「よし!明日、朝早いし帰ろっかな!」


そう言ってパッと私を離し、帰る準備を始める。


はぁ〜。もう、なんなのよ!







「じゃあ、また来るね♡」



帰りもアイドル全開で、ヒラヒラと手を振り帰っていった。



私は無言で手を振り返した。









えっとー。これ、毎回エスカレートしていくんですかね?

無理無理!心臓もたない!!





私はこのよくわからない関係が始まった初日から、綺麗な顔をした小悪魔に完全に翻弄されていた。