私…ここにいちゃいけないの?


ほんとはここで貴方を待ちたい。


でも、私の体はここにいない。


溶ける。


溶ける…。


とろける程に。




青い光りが降り注ぐ海中の岩場に私は取り残されてる…仰向けで横たわるその姿は背泳ぎで空を眺めているかのように。


水の檻に隔てられ、いびつに歪む太陽をひとりぼっちで見上げる私………否。


そこにいるのは私だけじゃない。


私は毛布と寝袋に包まり、4つのブロック石に固定されここにいる。


僅かに裂けた寝袋の先から…ゆらりと私に繋がった胎児が海中の流れにそって漂う。


ゆらり
ゆらりと。


あの人は遠くへ行ってしまったけど…あなたは私からいなくならないのね。


よかった。


私はここで貴方を待ちます。


割れた頭蓋骨から脳髓が海水に溶け、流されていく。


溶ける。


溶ける。


とろける程に…。











END
2008/7.13初稿
2008/7.16脱稿
哀神ゆう 著