「ほらっ、梓早く行ってきなよ!」



次の日、佳奈美に原谷先輩に誘われたことを話した。


お昼休みになっても、恥ずかしくて全然屋上にいけない私に佳奈美は背中をポンッと押す。




「じ、じゃあ、行ってくるね……!!」


「うん、行ってらしゃい!」



佳奈美は人気者だし私がお昼を一緒に食べなくても食べてくれる人はいるだろう。



それにしても、緊張する!!!!



でもこんなチャンス逃すわけにはいかないよね。うんうん。


私はそう自分に言い聞かせて屋上の扉をゆっくりと押した。



屋上のフェンスによりかかった原谷先輩がいた。



「あっ、梓ちゃんでしょ?
きてくれて嬉しいよ。
こっちおいでー」



原谷先輩はにっこりそう言ってくれた。



私は少し距離をとりながら原谷先輩の近くに腰をおろす。


横顔もすごく素敵……

私が原谷先輩に見とれていると


「じゃあお昼食べよっか?」


原谷先輩が優しくそう言う。



「も、もしかして、お昼食べないで待っててくれたんですか?!」



原谷先輩の購買で買ったらしきパンの袋はまだきれいなままだった。



「え?うん!
一緒に食べる約束してるなら当たり前じゃん」


や、優しい……


「あ、あの、ありがとうございますっ」



「いえいえ」