「梓に会ってほしい人がいる」
このひとことは私の人生を大きく変える言葉だった。
「えっ。
お兄ちゃんもう1回言って‥‥?」
「だーかーら、俺の先輩の瀬名煌我(せなこうが)さんと会ってほしいんだって」
やっぱり聞き間違いなんかじゃなかった。
「ちょ、ちょっと待ってよ!
私やだからね!お兄ちゃんの知り合いなんかに絶対会いたくないもん‥」
「そりゃあ、梓が俺たちみたいなの苦手っていうのは俺が痛いほどわかってるよ‥‥でもなぁ‥」
お兄ちゃんは困ったような目で私を見てくる。
「でも‥‥?」
「俺、煌我さんだけには頭上がねーんだよ〜‥‥」
えっ、あのお兄ちゃんでも頭が上がらない人なんだ‥‥。
お兄ちゃんはこの辺では結構有名らしい。
私がみてきたお兄ちゃんはいつも偉そうだった。
後輩たちいつもすごいびびってた記憶がある。
煌我さん?っていう人はよっぽど怖いんだろうなぁ‥‥。
ますます会いたくないよ。
ん?てかなんで‥
「なんで私に会いたがってるわけ⁈」
一応言っときますが、私は可愛くもなければ美人でもない平凡な高校1年生です。
「俺だってよくわかんねーよ‥。
ただ、お前の写メがたまたま見られちまってよ。
そしたら会わせろって」
お兄ちゃんなんで私の写メなんか持ってるの‥‥。
まずそこがおかしい。
第一なんで私⁇
何度もしつこいが私は本当に普通。
彼氏だってできたことないし、告白だってされたことなんてない。