ーーーーPM9:20


『……あー、うん。
兄貴と彼女も来るってこと?』


お風呂に強制連行されそうになった時に
救世主の様に鳴った電話の相手は、隼の“お兄さん”だったようだ。

…ありがとう、お兄さん!
今度ケーキ奢ります。


「ん?」


ちらちらと、こちらを見ながら話す隼に小首を傾げれば、


『夏織、温泉行きたい?』


そう唐突に聞いてきた。


「混浴じゃなかったら行きたい」


『混浴じゃないよ(嘘だけど。)』


「じゃあ、行くー」


『行くだってさー。……今週の土日?
ん、分かった。』


じゃあねー、と言って電話を切った隼。


『兄貴と、兄貴の彼女と
俺と夏織で温泉旅行だって。』


「お兄さんの彼女!?」


『夏織みたいなタイプらしいから
そんなに緊張しなくていいよ。』



いや、そんなこと言われても
緊張するってば。