ガタン。

まだ通話の終わっていない携帯が、
床に落ちる音が部屋に響く。


『…なんだよ、これ。』


机の上には白い紙があった。


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今日は知人と会うので、帰れないかもしれません。心配しないでね。

夏織
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『知人って、』


1人で解決しようとしないで
俺に頼ってよ。

そんなに頼りないのだろうか、俺は。


脱力するように座ったソファーが
ギシリ、と音を立てる。


『あー……本当、馬鹿。』


自分自身に馬鹿と呟く。
だって俺がもっと早く解決してれば、
夏織は会いにいかなかったでしょ。

ーーその“知人”に。