The Fool−修正版−

「まーだ能力でてねぇのか?ピンチだぞ?」


「恥ずかしい限りです」


「もっかい稽古つけてやろうか?」


言葉がつまる。


それだけは嫌なのでバラは話を切り替える事にした。


「そういえばラーナさんはどうしたんですか?」


その問いにマルスは小さく呻く。


「あいつを忘れてた……ちょっと待ってろ!」


マルスは急いで時空孔の中へ消えてしまった。


「逃げて来たんじゃないんだ………」


また一人になってしまい、静けさが戻る。


そこへコンコンとドアをノックする音が聞こえた。


「失礼、ちょっと良いですか?」


老人の声が聞こえる。


「良いですよ。入って来て下さい」


ドアが開くと同時に体を丸めた背が低い老人が現れた。


鼻が細く長い、多分ドワーフ系の人だろう。


「貴方はバラ様でごさいますか?」


「はい。そうですけど?悪いんですが依頼は……」


「貴方でなければ駄目なのです!」