The Fool−修正版−

「さて、この黒満月。一度味わったお前にはわかるな」


喋るたびにこのドームみたいな巨大な部屋が揺れ動く。


手にも足にも、兎に角体全体震えている。


黒満月。


「中からは打ち破ることがゼロに等しい最強の檻」


中は異次元。


「そして、俺の分身の永続する攻撃」


「中は反撃するどころか防御も出来ない」


「そう、そこまではわかるだろう?」


「……そこまで?」


「そう、そこまで」


手の平に小さな黒球、黒満月を出す。

これ
「黒満月は外面がとても弱くてな。外からの攻撃に滅法弱い」


人差し指でちょんと叩くと黒球はシャボン玉の様に割れる。


「そして、中からはわからないがどんどん収束する」


「収束……?」


「要するに小さくなるってーことだ」


「それが?」


「簡単に言えばバネ。力を入れれば入れるほど反動が大きくなる」


「まさか!」


姿知己は青ざめる。


「そのまさかさ。黒満月は収縮し最後には大爆発を起こす」


マルスは更に続ける。


「しかも、俺の意思で収縮を早めることが出来る」


「な……に……」


「安心しろ。俺はお前を全力で叩きのめす。だから、こいつらに意識を回すことは出来ない」


「だけど…時間があるんだろ?」


「そう、もって30分」


「その間にその真っ黒い球に触ればいいんだろ?」


マルスは笑う。不気味なくらい爽やかに。