The Fool−修正版−

暴音に等しい音が響き渡る。


が、耳を塞いでうずくまることは出来なかった。


皆、その場で動けなかった。


音が体を震わしているのはわかる。


「………なんで、動けない……」


声は出せるようだ。が、体は石のように動かない。


「残り20秒、そのままにしてろ」


デルバが叫ぶ。


そして、暴音の中でも聞こえてくるガリの呟く声。


ガリはいったい何をしようというのだろう。


「時の鐘は最奥に、時を刻むは紅き星と広漠な星」


「闇に惑いし魂よ。汝に刻むは永久に続く咎か、それとも月か」


何か手は無いのか、もがくがやはり動けない。


《任せて》


―??!!ローレライか!!―


「バルト……?」


「ラァァァァァァ――――――――…………………」


「神疑………?」


後ろから神疑が歌う。


姿知己達は体が自由になる。


「惑い止まるは汝が時間、憂い止まるは星の時間」

   月
「『餅つき兎』が鐘を撞く時、執行人の口が開かれる」


だが、遅かったようだ。


ガリが鎌の柄の先で地面を二回叩いた。


そこから黒い孔が広がり始めた。

  召 喚  時 止 め 兎
「『サモン・クロノスラビット』」


出てきたのは眼鏡をかけ、両手で開いた本を持ち、二本足で立っている兎であった。


〈美しい歌声だが……オーケストラには不要也〉


兎が微笑む。


〈我が止めるは30秒〉


兎はそう言うと本を閉じ小さな鐘を突き出し、


ちりー………ん、と鳴らした。