口の悪い、彼は。

 

「そういうお前はどうなんだよ?言えよ」

「っ!わ、私は……その」

「……」

「……」


部長の鋭い瞳が私を捕らえ、目をそらすことはできない。

自分の気持ちを言った瞬間、「はい、夢でしたー」なんて落ちはないよね?

「バカなこと言うな」なんて怒ったりしないよね?

……めんどくさいやつだって、聞かなきゃ良かったって、私のことを避けるようになるなんてこと、ないよね?

不安だけが私を襲ってきて、言葉が出てこない。


「……おい。聞き逃げか?」

「っ!違います!けど……私の気持ちを聞いたら……後悔しませんか?やっぱりナシなんてことにはなりませんか?」

「は?何を後悔すんだよ?ナシにするつもりもねぇよ」

「だ、だって……っ」

「はぁ。お前はぐだぐだうるせぇんだよ。早く聞かせろ」

「!!」


いつもは余裕綽々なのに、こんな風に急かす部長は初めて見る気がした。

仕事ではイライラしながら急かしてくることはよくあるけど、今はイライラとかそういうのは全く感じなくて……ただ、私のことを知りたいと思ってくれているんだなと感じる。

2年も見てきたんだもん。

部長は口は悪いけど、その言動の裏にはちゃんとした意味があるんだって思う。

それなら……私も部長に対して素直な気持ちを伝えればいいんだよね?