「……本当に、彼女とかいないんですか?」
「いねぇっつってんだろ。いい加減ウザい」
はぁ、と面倒そうに息をつかれて怯みそうになったけど、ここで引くと後悔すると思った私はキッと部長の目を見る。
「じゃ、じゃあ……部長の心の中をちゃんと言葉で教えてください!何で、キスなんてするのか」
「……わかるだろ」
「わ、わからないから聞いてるんです」
目に映る部長はやっぱりめんどくさそうにしていて、自分がしていることが間違っているように感じてしまう。
……部長との距離を広げているだけなんじゃないかって。
はぁ、と部長が息をついた。
「……俺は好きでもない女にキスなんかしねぇよ。部屋に連れてきたりもしない。それが答えだ」
「!……す、好きって思ってくれてるってこと、ですか?」
「……さっきも言ったよな?知りたいって。何度も言わせんなよ」
「……私のことを、ですよね……?」
「あぁ?他に誰がいるんだよ」
……部長は本当に私のことを好きって思ってくれてるの?
本当に……?
半信半疑なままだけど、嬉しさが込み上げてきて、涙が出そうになる。
……信じられないよ。

