口の悪い、彼は。

 
***


「あっ、ふたりで何してるの!?私も仲間に入れて入れて~!」

「はぁ。うるせぇのが来た」

「きたー!」


洗濯を終えてリビングに戻ってくると、そこには千尋と明良(あきら)がいて、私はふたりに駆け寄る。


「おい、でけぇ身体でどたばたすんな」

「すんなー!」

「こらっ、明良!千尋の真似しちゃダメでしょっ!女の子にモテなくなっちゃうよ!」

「そうなの?おとーさん」

「さぁ。どうだろうな」


千尋が明良の頭をぽんっと撫でると、明良はきょとんと首を傾げた。

明良はついこの間5歳になったばかりの、私と千尋の息子だ。

気付けばちょろちょろと動き回っていて、家でも外でも目を離せないやんちゃ真っ盛り。


「ねぇ、何見て……きゃあ!やだ、何これ!気持ち悪ーいっ!」


明良の隣に座り、ローテーブルに乗った図鑑をひょこっと見ると、そこには“うみのとくしゅなせいぶつ”とコメントされたグロテスクな生物が載っていて、私はつい叫び声をあげてしまう。


「おかーさんもいっしょにみる?」

「や、これは遠慮しとく!明良、違うの見ようよ~。昆虫図鑑とかどう?今度昆虫採集に行くし、千尋も昆虫の勉強しなきゃいけないもんねっ?」

「うん!こんちゅうみたい!かぶとむし、たくさんつかまえるんだ~!おとーさん、いっしょにみよっ」

「……。」


“昆虫”という言葉に明らかに嫌そうな表情をした千尋に向かって明良が笑顔を向けた時、ピンポーンと家のチャイムが鳴った。

リビングの壁に掛かっている、喜多村さんが企画を手掛けたCLO×CLO製の壁時計を見ると、ちょうど2時を過ぎたところだ。

ということは。