「せいぜい頑張ればいい」
「……もう、ズルい。いいよね~。千尋はいつも余裕で!」
悔しくてプイッと千尋から顔を背けたけど、こういう行動が子供っぽいんだと気付いた私は、『オトナの女への第一歩だ!』と気を取り直して話題を変えることにした。
「ねぇねぇ!弟さんも千尋みたいに口悪いの?」
「あ?何だ、いきなり」
「だってさぁ、千尋って晴日ちゃんを抱っこしてる時も口悪かったし、子ども相手でも口の悪さは変わらないんだなって思ったの。ほら、小さい頃から千尋の言葉聞いてたら、口が悪いのが移りそうじゃない?だから、弟さんも千尋みたいなのかなって」
「……兄弟だし、そこそこ似てるだろ」
「やっぱり口が悪いのって移るんだ!」
「つーか、俺はウイルス扱いかよ」
「そう!口悪いウイルス!確かに千尋って部長職してるし面倒見はいいだろうけど、千尋の子どもは絶対に口悪くなりそうだよね~。っていうか、それって遺伝なのかな?」
いや、でも子どもって外部からのいろんなものを吸収するっていうし……やっぱり育つ環境が影響しているのかもしれない。
ってことは、もしかして……。
「千尋の両親とか友達も、口が」
「小春」
「え?」
「そんなに気になるんなら確かめてみるか?」
「?確かめるって、何を?」
「子どもの口が悪くなるのかどうか」
「……千尋?」
私の顔を覗き込むようにして見てくる千尋に私は首を傾げた。
いつものように無表情だし、千尋の言葉の意味が読み取れない。
『子どもの口が悪くなるかを確かめる』ってことは……まさか。

