再び千尋と晴日ちゃんに目線を戻すと、そこには千尋の服をきゅっと握っている晴日ちゃんと、晴日ちゃんの身体を揺らしながら目線を落としている千尋の姿。
その光景は私の妄想を掻き立てるのに十分なものだった。
千尋に子どもができたら、こんな風にあやすのかな……。
口は悪いけど何だかんだで優しいし理不尽なことも言わないから、子どもはパパっ子になりそうだよね。
私はそれを見ながらやきもち焼いちゃったりして……。
むふふ、と笑いそうになった瞬間、私ははっと我に返った。
……って、私、何考えてるの!?
図々しいにも程があるって!
こんな妄想してたなんて千尋にバレたら、呆れられるだけじゃ済まないかもしれない……!
私と千尋の間には結婚の“け”の字も出ていないというのに、夢のまた夢のような妄想だけが何百歩先にも進んでしまった。
私はそれを振りきるようにして頭をぶんぶんと左右に振る。
「喜多村、代われ」
「は、はいっ!」
「お前の抱き方が悪いんだろ。手はここだ」
「……はい」
あーだこーだ言いながらレクチャーし始めた千尋の言葉と動作に、最初は戸惑っていたけど、喜多村さんは一気に真剣な表情に変わった。
「あ……さっきより楽だし、晴日も泣かない……」
「居心地が悪くて泣いてたんだ」
「なるほど……。部長、すごいですね」
「子どもには慣れてる」
「え?」
喜多村さんが大きく目を見開いて私と千尋のことを見比べ、パクパクと口を開いた。

