口の悪い、彼は。

 

「も、もしかしなくても……社長の……!?」

「そうなの。私、社長であり、社長夫人でもあるのよね~。この肩書、すごくない?なーんて!」

「……」

「そんなに驚いてくれた?」

「あっ、は、はい……」


ってことは……美都さんと千尋は特別な関係なわけじゃないってこと?

美都さんが社長の奥さんだということには本当に驚いたけど、それ以上に今の私は自分の安心感をもっと増量させたかった。

核心に迫るべく、それとなく美都さんに質問を投げ掛ける。


「あの、美都さんと社長って、その頃からずっと?」

「うん。付き合い始めた時、私10代だったし。あ、今年で結婚して10年経つわね。確か」

「えっ!?10年も経つんですか!?」


結婚して10年も経つという言葉に驚いてしまう。

何回か美都さんに会ってきたけど、そんな素振り一度も見せたことなかったし、そんな話は出なかったのに。


「あれ、前会った時に結婚してることは言ってなかったかしら?まぁ特別おもしろい話があるわけでもないし、私指輪もしないからね~」

「でも社長って確か40歳過ぎてるとか……失礼かもしれませんけど、美都さんってそんなにいってないですよね?」

「あ、そうなのよー。彼とは8歳離れててね。“社長仕事が暇になってきたからその合間に経営の勉強したい!”なんてバカみたいなことを言いながら、私が通ってた大学に社会人入学してきたの。経営学の講義で一緒のグループを組んだのが出逢いってわけ」

「……なるほど」


美都さんの話に、一気に安心感に包まれた。

美都さんと千尋は付き合ってたわけじゃなかったんだ……。

良かった……。