口の悪い、彼は。

 

美都さん、千尋のこと名前で呼んでるんだ……。

そりゃそうだよね……付き合ってたんだもん。

でも、別れたのにこんなに仲良く話せるものなの?

……そうだよ。

喜多村さんたちが千尋と女の人が一緒にいたところを見た時だって、ふたりは笑い合っていて、腕を組んでいたって……、腕を、組んでた……?

私が千尋と付き合うようになったのは、あの話を聞いてすぐだ。

千尋は「彼女なんていない」と言っていたから、私はその言葉を信じた。

……でも……本当の本当に、真実だったのだろうか。

疑うなんて嫌だけど、でも……。

……すごく嫌な予感がした。

もしかしたら、ふたりはまだ……。

いや、そんなわけない!

だって、週末はほとんど千尋と一緒に過ごしてるんだから!

私が目をぎゅっとつぶり、首を横に振った時。


「小春ちゃん!」

「!美都さん。お疲れ様です」


美都さんに声を掛けられ、慌てて顔に笑みを貼り付ける。

美都さんは軽い足取りで私のデスクまでやって来た。


「お疲れさま~!ねぇ、今日これから時間ある?」

「え?」

「ご飯行かない?突然だし無理かしら?結婚式の時はほとんど話せなかったし、私、小春ちゃんともっと話したいと思ってたの!もし予定がなければ行こう?」


にこにこ笑顔を向けられるけど、私はちゃんと笑えているのだろうか、と少し不安になる。

以前の私なら、喜んでご飯の誘いに乗っていたかもしれないけど、今はすぐに頷けない私がいた。

……もしかしたら、美都さんは千尋とそういう関係だった……ううん、そういう関係なのかもしれないのだ。

のこのことついていって笑顔でいれるほど、私の心は広くない。