口の悪い、彼は。

 

つつ、とデジカメの液晶の中の千尋を指で撫でた時、お姉ちゃんの声が耳に入ってきた。


「小春?泣き止んだ?」

「あっ、うん!もう大丈夫~」

「それなら良かった」

「ごめんね」

「ううん、私のために泣いてくれて嬉しかったから。……ね、小春。聞きたいことがあるんだけど、いい?聞きたくてずっとウズウズしてたの」

「え?何?」


髪の毛は盛ったままの私服に着替えたお姉ちゃんは、私の隣にあった椅子に座った。

そして私に近づき、こそりと耳打ちするように言葉を発する。


「小春、付き合ってる人、いるでしょ?」

「……へっ?」

「昔はよく彼氏の話とかしてくれてたのに、最近はそんなこと全然言ってなかったから、驚いちゃった」

「えぇっ!?」


ま、待って!?

何がどうなって、お姉ちゃんはそんなことを!?

私、一言もそんなこと言ってないのに!


「すごく落ち着いた方ね。部長さん……真野さん、だっけ?」

「!!」


相手までしっかり把握しているお姉ちゃんに、私は何も言えなくなってしまった。

いつ気付かれてしまったんだろう。

ちょこっと危ない場面はあったけど、ちゃんと“部長の部下”として接していたはずなのに。

落ち着かない私は、手をもそもそと動かしてしまう。


「あ、あのね、お姉ちゃん……その……えっと」


もごもごと私は言葉にならない言葉を紡いでいると、そんな私の様子を不思議に思ったのか、感情をあまり表に出さないお姉ちゃんが珍しく顔色を変えた。