口の悪い、彼は。

 

私は近くにあった椅子に座ってお姉ちゃんが渡してくれたハンカチで涙を拭き、バッグの中に潜ませていたデジカメを取り出す。

あまり時間がなくて写真はたくさんは撮れなかったけど、余裕がある時に会場の雰囲気やお姉ちゃんと喜多村さんの幸せいっぱいの笑顔をデジカメにおさめていた。

1枚ずつゆっくり見ていっていると、お姉ちゃんのお友達が気遣って撮ってくれた私とお姉ちゃんのツーショット写真があって、顔が緩んだ。

……あれ?

私は画像を拡大して背後に写り込んでいる人たちを見る。

その中にいたのは……千尋だった。

千尋の目線はカメラの方を向いていないし、私と千尋の大きさの差があるとは言え、一緒の写真に写っていることに何だか嬉しくなってしまう。

千尋は写真が嫌いらしく、旅行やデートは何回もしたことはあるのに、一枚も写真を撮らせてくれたことがないのだ。

隠し撮りの後ろ姿の写真はたくさんあるけど……。

でもこれは小さいけど顔がはっきりとわかるし……初めて一緒に写った写真だ。

現像して持ち歩いちゃおう。

……って、何か片想いをしてる人みたいだけど……。

他の写真にも千尋が写っていないか探してみたけど、その一枚きりだった。

でも、一枚あれば十分。