口の悪い、彼は。

 

お姉ちゃんが発した言葉の意味は“仕事の面で”ということはわかっているのに、何だかそれ以外の意味にも感じてしまって、私の心臓はドキドキと鼓動を速めていく。

しかもお姉ちゃんはあろうことか「末永く」なんて言葉を使ったのだ。

ドキドキしちゃうに決まってるよ……。

そんなことを思っているのは私だけのはずだけど、やっぱり千尋の様子が気になってしまってチラッと見上げる。

でも、やっぱり千尋はいつものように感情の見えない表情のままだった。

このままスルーするのかなと思った瞬間、千尋はお姉ちゃんのことを真っ直ぐ見て口を開いた。


「わかりました」

「っ!」


千尋の答えも“部長”としてのもののはずだけど、私の心臓はドキッと大きな音をたてた。

……し、心臓に悪いよ~!

バカみたいに焦る私を置いて、千尋は私のことなんて見向きもせずにお姉ちゃんに頭を下げて披露宴会場に続く扉に向かっていく。

2秒くらい呆然とその背中を見つめてしまっていたけど、私ははっと我に返って千尋の後に続こうと、お姉ちゃんと喜多村さんに慌てて声を掛けた。


「あっ、私も戻るね!じゃあ、お姉ちゃんと喜多村さん、また後でねっ」

「うん。後でね。こけないように気を付けるのよ」

「うん!ありがとう!」

「なぁなぁ、知夏。俺のことはお願いしてくんねぇの?」

「いいの」

「え、酷くない?愛する旦那だろー?」


お姉ちゃんと喜多村さんがそんな会話をしているのを微笑ましく聞きながら、私はガヤガヤと盛り上がっている披露宴会場へ戻った。