【祐 side】

アイツはどこかおかしい。

いや、前々から薄々気づいてはいた。
だけど、あそこまでバカっていうか、ずれてるとは思わなかった。


俺がそう確信したのは、今日の放課後のこと。

夕暮れがかった教室は、俺と幼なじみの菜花しかいなかった。


教室に二人きり!というムードに、俺はちょっと興奮していた。
菜花は俺としゃべりながら、友達から借りた少女漫画を呑気に読んでるけど。


「ねぇ、祐。壁ドンって知ってる?漫画とかで流行ってるやつ!」

ふいに菜花が口を開いた。