「広瀬さん、体調悪いの?」


内線を終えて受話器を置いた時だった。


後ろから掛けられた声に振り返ると、足を止めて私を見下ろす男性と目が合う。


数冊ファイルを抱えているところをみると、今まで倉庫に行っていたみたいだった。


「桐崎主任」


「微妙に顔色悪くないか?」


桐崎祥太主任。


見ての通り誰にでも優しく、部下を気遣ってくれる。沢山の仕事を抱えているのに表情を崩したところを見たことがないし、他部署からも頼られるほど信頼が厚い。


そして何よりもう40歳になるというのに、見た目が若い。


若いだけじゃない。その甘いマスクで一体どれだけの女性社員がときめいたのだろうと心配するほど整った顔立ちをしている。


入社の時からお世話になっているけど、今も変わらず気にかけてくれる桐崎主任が私も密かに癒しだったりする。