手紙を読んだ後から、適当に俺は携帯電話で登録されている女に日替わりで電話をかけていた。
頭痛が日に日にひどくなり、それを和らげる為に俺はその好きでもない女を抱く。
その時だけは、不思議と頭痛がなくなっていく。
「本木さん、久々に電話くれたと思ったらもう帰るの?」
その女の部屋に広がる自分を着飾るためのブランド物のキツイ香水の匂いと俺自身という男ではなく、ミュージシャンとしての俺と金を見ている目や表情を俺は冷たい目で見下した様に見た。
そんな女を抱く度に俺は、自分が今の自分のままでいられるような気がした。
自分より汚れている人間を見るとどうしようもなく、自分自身より愛おしく思えるからだ。
俺は早々に服を着ると、タバコを咥えながら女の家を出た。
タクシーで家に戻ると、眉間にシワを寄せて玄関の前で腕を組んで雑誌を丸めて持ちながら、俺を待つ奈緒の姿。
ため息をつきながら、そんな奈緒の前にめんどくさそうに現れる俺。
「なんだよ。こんな休みの日に。最近、仕事立て込んでて疲れてるんだから、帰れよ。」
そう言って玄関の鍵を開けて、ドアを閉めようとすると、足でドアをこじ開け、俺の目の前に丸めていた雑誌を投げつけた。
「最近、佳ちゃんの女ネタばっかり。どうしちゃったのよ。こう毎日じゃ私も呆れて、雑誌差し替えるのやめちゃったわ!」
俺は、その雑誌を拾い上げ、自分の掲載ページにざっくりと目を通し、半ば馬鹿にしたように笑いながら言った。
「くだらねーバカな女。一回寝たくらいでこうも自信持ってよく俺の事解ったような口聞いて取材受けれると思わねーか?」
その言葉と同時に奈緒の右手が俺の頬に直撃した。
鈍い音とじんじんと痛む頬。
でも、目の前には涙目で俺を見つめる奈緒がいた。
「最低ね!男としても人としても。」
俺は、その分かりきった言葉に玄関のドアを勢いよく閉める。
ドア越しに、奈緒が言った。
「佳ちゃん、開けて。」
俺は、ゆっくりと玄関のドアを開けた。
きっと、ドアを閉める俺の姿は今にも泣きそうだったのだろうと思う。
苦しくて、抱えきれずに俺はまた自分を誤魔化して、馬鹿みたいに同じ事を繰り返しては自己嫌悪に陥り、後悔する。
遊びで遊んだ女の中に自分を本当に愛してくれる女はいるはずなどないとわかっているのにやめられない。
奈緒は、優しく何も聞かずに俺を抱きしめた。
俺は、その奈緒の体温の暖かさに久しぶりの安心感を得た。
抱きしめたられた腕の中は、奈緒の愛情で溢れていた。
俺は、その中ではっきりと奈緒の俺への愛情が確信できた。
愛されている安心感と未来。
俺は、その日、奈緒を抱いた。
頭痛が日に日にひどくなり、それを和らげる為に俺はその好きでもない女を抱く。
その時だけは、不思議と頭痛がなくなっていく。
「本木さん、久々に電話くれたと思ったらもう帰るの?」
その女の部屋に広がる自分を着飾るためのブランド物のキツイ香水の匂いと俺自身という男ではなく、ミュージシャンとしての俺と金を見ている目や表情を俺は冷たい目で見下した様に見た。
そんな女を抱く度に俺は、自分が今の自分のままでいられるような気がした。
自分より汚れている人間を見るとどうしようもなく、自分自身より愛おしく思えるからだ。
俺は早々に服を着ると、タバコを咥えながら女の家を出た。
タクシーで家に戻ると、眉間にシワを寄せて玄関の前で腕を組んで雑誌を丸めて持ちながら、俺を待つ奈緒の姿。
ため息をつきながら、そんな奈緒の前にめんどくさそうに現れる俺。
「なんだよ。こんな休みの日に。最近、仕事立て込んでて疲れてるんだから、帰れよ。」
そう言って玄関の鍵を開けて、ドアを閉めようとすると、足でドアをこじ開け、俺の目の前に丸めていた雑誌を投げつけた。
「最近、佳ちゃんの女ネタばっかり。どうしちゃったのよ。こう毎日じゃ私も呆れて、雑誌差し替えるのやめちゃったわ!」
俺は、その雑誌を拾い上げ、自分の掲載ページにざっくりと目を通し、半ば馬鹿にしたように笑いながら言った。
「くだらねーバカな女。一回寝たくらいでこうも自信持ってよく俺の事解ったような口聞いて取材受けれると思わねーか?」
その言葉と同時に奈緒の右手が俺の頬に直撃した。
鈍い音とじんじんと痛む頬。
でも、目の前には涙目で俺を見つめる奈緒がいた。
「最低ね!男としても人としても。」
俺は、その分かりきった言葉に玄関のドアを勢いよく閉める。
ドア越しに、奈緒が言った。
「佳ちゃん、開けて。」
俺は、ゆっくりと玄関のドアを開けた。
きっと、ドアを閉める俺の姿は今にも泣きそうだったのだろうと思う。
苦しくて、抱えきれずに俺はまた自分を誤魔化して、馬鹿みたいに同じ事を繰り返しては自己嫌悪に陥り、後悔する。
遊びで遊んだ女の中に自分を本当に愛してくれる女はいるはずなどないとわかっているのにやめられない。
奈緒は、優しく何も聞かずに俺を抱きしめた。
俺は、その奈緒の体温の暖かさに久しぶりの安心感を得た。
抱きしめたられた腕の中は、奈緒の愛情で溢れていた。
俺は、その中ではっきりと奈緒の俺への愛情が確信できた。
愛されている安心感と未来。
俺は、その日、奈緒を抱いた。

