しかしこのままで終わるほど私も冷めた女じゃない。


本気で落ち込む先輩に「先輩、」と声をかけた。



「明日、先輩がよかったらデートしましょう?

あ、もちろんお家で。」



私だって、体育祭の間、寂しかった。
今思えば、旭先輩にいっぱい嫉妬してた。

だから、明日は先輩とゆっくり過ごしたい。


私の問いかけに、先輩は優しい笑顔で答えた。



「うん。俺んちで、ゆっくりしよっか。」



「はい。お邪魔しますね。」




そして先輩は「あ、」と言って続けた。




「明日、親いないし2人きりだ。」



「?…手土産のお菓子ならご両親が帰ってきてからでも食べてもらえますよ?」




「………。」




なぜか、先輩は呆れ顔だった。
それに加え、「ここまで鈍感だとは…」という言葉付き。



私は何と答えればよかったんだ…。