「なっ、」
「ごめん、彼女に話あるから先に帰っててもらっていいかな?」
私の腕を引っ張った挙句、今は私を自分の腕の中に収めている先輩。
「あ、はい。全然大丈夫っす!」
松山は少しにやにやしながら答えやがる。
うるさいぞ、顔が。
松山はそそくさと帰っていく。
他の生徒も、旭先輩も、教室から出て行ってしまったので今は2人きりだ。
「先輩…?どうかしました?」
「……べーつに?」
そういいながらも私を後ろから抱きしめ、手を絡めてくる。
私は知ってる。
先輩が手を絡めるときは、先輩が寂しいときだってことを。
だから私も握り返した。
「私も…寂しいですよ。」

