突然、着ていたTシャツの裾を申し訳なさそうに引っ張られた。

「落としましたよ?」

さっきの少女からそう言って渡されたのは、この図書館の入館証だった。

彼女は下を向いていたので声が驚くほど一瀬さんに似ていた。

「ありがとう」