犯罪彼女


「マスター、そろそろかえるね」

「帰れる? 誰か呼ぼうか?」

「ひとりでかえれまーす」

少し落ち着いてきた。
財布からお金を出し、立ち上がる。
それでも、揺れる世界では上手く歩くことが出来ずバランスを崩した。

「おっと」

「あ、ごめーん」

受け止めてくれたイケメンに伝えるごめんには気持ちがこもってはいない。

「全然ダメじゃない。圭吾くん呼ぶわよ」

「すーちゃんはだめ。
いま、しごといそがしいんだよ」

「なら正義くん?」

「ひとりでかえれるもん」

ゆっくり立ち上がり、フラフラしながら先に進む。
また、足がもつれた。

「俺で良ければ送っていきますよ」

「いいの?
あの子一人じゃ心配だし、私もここ離れられないし。
お願いしようかしら」

いつの間にか客が増えた店から、マスターが出て行くわけにいかないことはわかっている。

こうして、私は初対面の男性に送ってもらうことになった。