「……せこ」
あ、思わず本音がポロリと。
「あ?なんだと?元よりお前と格を一緒にするなっ」
「なんですって!」
「ふん!」
にらみ合いをするが、決着が付かず、どちらとなく顔を背けた。
「……それなら、今日バイト入らなきゃ良かったじゃないですか。
その、“彼女”さんが、待ってるんでしょう?」
うざったらしく言ってやった。
先輩の眉毛がなんだと?と言いたげに、一瞬上に上がる。
「関係ないんだよ!そんなこと。
今から熱いあつーい夜を過ごすからな、はっ、羨ましいだろバーカ」
「!」
あ、熱い夜?
羨ましいだと?なことあるかボケ!
あームカつく、この、言い方ときたら!
「あっそうですか。先輩、あまりにも幸が薄そうなんでね。
“彼女”いないのかと思いましたよ」
あくまで平静を装わなければいけない。
「…な!お前、絶対に彼女いる俺に嫉妬してるだけだろ!」
「は、何を言ってるんですか!!!
嫉妬なんてしてないですよ」
「いいや してるね」
もーう、頭に来た!
「端から勝手に決めつけないでください、よ!!」
私はふき終えたタオルを叩きつける様に、ゴミ箱に捨てた。
先輩が、果てしなくムカつく。
「おい、どこに行くんだよ。」
「帰るんです」
おい、じゃない。話し掛けるな。
私が奥の部屋に進むにつれ、先輩も金魚の糞みたいに付いてくる。
先輩でないのなら、ついてくんなー!と、言いたい。

