「龍・・・・俺は自分がこんなに女々しい奴だとは思わなかった」



「総・・・・」




「あいつは黒陀の総長の女でスパイだった・・・・そんな事実を突きつけられてもあいつのことを嫌いになれない俺が居る」




そうぽつりと呟くと俯き加減で下を向いたまま総一郎は語りだす



持っていたボストンバックを肩にかけ直すとゆっくりと歩き出しタクシー乗り場にそのまま向かった




何故かタクシーの車内では皆無言だった



嫌いになれない・・・・そう呟いた総一郎の心中は察するに余りある



俺がもし惚れた女にそんなことをされて裏切られたら俺はどうだろう



多分冷静ではいられないし・・・・一発殴ってしまうかもいや、惚れた女を果たして殴れるか?



ふっ・・・可愛さ余って憎さ百倍か・・・・



恋愛なんて厄介なもんだな、総一郎の心の中にある朱実への思いは消えることがない




結局時間が解決するのを待つしかねえか



そんなことを思いながら車窓を見つめる俺



何故なのかふと頭を過ったのは俺を助けてくれたあの女の顔・・・・




散々言いたいことを俺に言って風の様に去ってしまったあいつ



おもしれえ、女なんて猫なで声で媚を売るような女しかいねえと思っていたが・・・




さて、本腰入れてあいつの中学を調べることにするかな




この時の俺は瞳にすっかり捕らわれてしまったんだとまだ気付いてはいない