「朱実・・・・どういうことだ?なにがどうなってる?」



「何がって・・・・龍くんって相変わらずねえ「ふざけてねえで答えろ!お前は黒陀に拉致されたんじゃねえのかよ?」




俺がいらいらして近くの椅子を蹴とばすと朱実を抱きしめていた男の目つきが変わった



「葛西龍一・・・・お前まだわかってねえみてえだな?」



「な・・・お前なんで俺の名前?てめえ俺のこと知ってんのか?」




「神龍の総長の懐刀・・・葛西龍一の名を知らねえもんはこの辺りにはいねえよ、まあお前はそんなことよりも朱実のことのほうが気になってるらしいがな」



そう言うと黒陀の総長は愛おしそうに朱実を抱きしめた



「お察しのとおりこいつは俺の女・・・神龍を内部から潰してやろうと送り込んだ黒陀のスパイだ」




・・・・は?スパイ?嘘だろ?!




俺は嫌な予感が当たったと落胆しながらも咄嗟に総一郎の顔が頭に浮かぶ




あいつがこのことを知ったら・・・・そう思っただけで胸の奥が苦しくて疼いた




「種明かししちゃうとあの出会いも仕組まれたものなんだよねえ~わざとあたしをナンパさせて襲わせたのも黒陀の仕業ってやつ?」




ふふっと笑みを浮かべると金色の髪をかきあげながら俺に語り始める




すると気のせいだろうか何処か遠くから総一郎のバイクの音が聞こえたような気がした