「な・・・なんで?なんで喜一くんがここに?」




「さあ何故でしょう?そんなことより瞳ちゃんの弟君、隼人君だっけ?連れて来ていいかな?
ぐずって仕方ないからさ~皆手に負えなくて困ってたんだよ」




「ちょっと!子供を早くここに連れて来て・・・もううるさくてしようがない」




響子さんはそう言って眉間に皺を寄せると心底嫌そうにそう呟いた



すると遠くのほうから泣き声が聞こえてくる




ああ・・・あの声はまさしく隼人の声



あたしは覆面の男に抱かれて泣きじゃくる隼人を見て少し胸を撫で下ろした



取りあえず元気そうだ・・・・何も危害は加えられていないみたい




隼人はあたしの顔を見るなりぴたりと泣き止んで手を差し伸べる




でもあたしの手は抱きしめたくても鎖に繋がれたまま




部屋の中にがしゃりと鎖の軋むような音が響きわたった




「この鎖・・・・取ってほしいんだけど?っていうかこれはどういうつもり?」



「瞳ちゃん、取引しようか?「取引・・・・?」」




今までに見たこともない表情を浮かべてあたしに近づく喜一君




この人は誰?まるで別人を見るような感覚で彼の瞳を食い入るように見つめていた