「瞳!もう行くわよ!」




「えっ・・・・お母さん今来たばっかり「そうだよ、もうちょっとゆっくりしていけばいいじゃないか」




「いえ・・・ちょっと寄るところがあるし・・・瞳、行くわよ」




お母さんが作ってきた唐揚げと肉じゃがを置いてそそくさと逃げるように帰る



お父さんは引き留めることもなくそんなお母さんの行動を黙って見つめていた




あたしは訳もわからず母に手を引かれ父のマンションを後にする



言葉少なな母と父との見えないような壁をこの時から感じてはいた




だけどあたしにはどうしようもなくて父の単身赴任が終わってまた三人で暮らせば二人は元に戻ると信じていた




でも、仙台での海水浴を楽しんで東京に帰って来ると母の服装が少し派手になっていった



パートから正社員になり帰りが遅くなる日が続く




朝御飯も作ったり作らなかったりする日があって・・・・




以前はこんなことはなかったのに・・・




次第に仕事が忙しいとお昼はお金を置いて行く日々




そんな母の異変にあたしの心は不安で埋め尽くされていった