だから気が付かなかったのかもしれない



あたしはお父さんに逢えた嬉しさに周りが見えていなかった



綺麗に整理整頓された部屋




洗面所にある二本の歯ブラシ



父が使うはずのない女性用の化粧品



よく見渡せば気がつくはずなのにあたしはお父さんに話したいこと聞いてほしい事が山ほどあって・・・・・




母の顔が曇っていることに・・・・部屋に入ったとたん異変に気が付いた母に・・・・



あたしは注意が及ばなくて嬉しさに我を忘れていた



でも流石に部屋の綺麗さに気が付いたあたし




「ふ~んお父さん、お部屋意外と綺麗にしてるんだね~」




「あ・・・ああそうだ、偉いだろ?綺麗にしないと瞳が来たとき嫌われるからな」




そう言って微笑むお父さんにあたしも微笑んだ



そんなやりとりをお母さんはどんな思いで聞いていたんだろう




まだ子供だったとはいえこの時の自分の無神経さに呆れてしまう




今思えばこの時からだった、母が壊れてしまったのは・・・・・