「何、木村それ本気で言ってる?」


立ち止まり、いつもよりも低めの声でそう言った俺の方を木村が見る



「え、平岡さん…急にどうしたんすか」


「小松さんはちゃんと資料作ってたよ。残業までして」

「いや、でも実際今日無かったし……大体、平岡さん何を根拠に…」



木村の目がぐらぐらと揺れる。

少し怯えたような表情で、でも、不審そうな瞳で俺を見ている。



「はは、根拠ねー…

強いて言うなら俺の見る目、とか?」



俺、女と部下を見る目は人一倍だからネ。と付け足してニコリと笑う

そんな俺の屁理屈のような言葉に納得をしていないのか、木村はまだ何かを言い出そうと口を開いた


けれど


「……ま。とにかく小松さんはちゃんと資料作ってたから。そういうことでよろしく」


時間も迫っているし、木村に構っている暇なんて微塵も無い俺はそう言い残し足早に去った