だが、そんな必死なひとことも今の木村さんには聞き入れてもらえない。


「いや、小松さん。探し出しますって、本当に見つかるわけ?」


作ってないなら作ってないって、そう言いなよ。

そう付け足した木村さんの口調が今までに無いほどキツい。


本当に作りました。と言ったところで資料が手元に無いんじゃあ仕方がないし、そんなことで疑いも晴れるわけがない。

言い返すことも、真実を伝えることも、今の状態では意味を成さない。


一体、何でこんな事に……

なんて、考えたところでこれも意味がないけれど、そんな事を考えながら資料を探し続けること約30分。





ガチャッ




「木村、もうすぐ始まるから準備して」





会議の開始時刻が迫ってくると、平岡さんがオフィス内へと入ってきた。

そんな平岡さんに木村さんは慌てた様子で近寄っていく。


「ちょっと平岡さん、小松さんが資料作ってないみたいなんですけど。どういうことですか」


私の失態を言いつけるかのようにも聞こえるけれど、それよりも、平岡さんが私に任せた事を責めているようにも聞こえることに私は顔を顰めた。